企画者:

大田 一夫

下関市立熊野小学校校長
Adventure Friendship Program in Yamaguchiアドバイザー
9th Wilderness Education Association Japanカンファレンス副実行委員長

岡村 泰斗

backcountry classroom Inc. CEO
いばらきASEラボ副代表
一般社団法人Wilderness Education Association Japan代表理事

全体趣旨:

SPEC(スペック)とは、Student-Centered(生徒中心)、Problem-Based(問題解決型)、Experiential(体験的)、Collaborative(協働的)のアブリビレーション(略語)です。教育プログラム及び指導法に、4つの原理を導入することにより、誰でもより効果的な体験学習活動を開発することができる、北米の野外教育協会(Wilderness Education Association)の伝統的な教育原理です。このワークショップではSPECの原理を理解し、野外活動だけではなく、各種学校教科や、体験学習活動に、幅広く応用し、学習目標を効果的に達成する技能を獲得します。

また、山口県は、県の教育委員会主催で、平成元年から野外教育における冒険教育の手法を取り入れた自然験活動を行い、そのスタッフたちが事業の支援や自己研修の場を求めてYSSK(山口県自然体験活動研究会)を立ち上げ、教員の資質向上をめざしてきました。さらに、そのエッセンスを学校教育に導入するためのAFPYプログラム(Adventure Friendship Program in Yamaguchi)も開発し、県教委と共に普及を行ってきました。

一方、茨城県は、体験学習活動の一つである、ASE(Action Socialization Experience)の独自の指導者養成システムを構築し、県立さしま少年自然の家を中心として、独立したプログラム開発、指導者育成を行い、職員経験者を中心に、いばらきASEラボを設立し、ASEの指導技術の維持、向上を図り、県の教育育成、学校教育への導入、地域の青少年教育に貢献してきました。

このカンファレンスでは、全国でも先進的なAFPYといばらきASEラボの2つのサステイナブルスキームを共有することで新たなスパークを起こし、両県の学校教育、野外教育の向上を図るとともに、このスパークを全国の学校教育、野外教育関係者に発信することを目的とします。

会の最後には、いばらきASEラボが独自に開発し、ASEにSPECの原理を落とし込むために欠くことのできない、高さ3メートルのビーム(高所の立木に梁を設置するアクティビティ)を瞬時に設置する技術をデモストレーションし、参加者が独自に実践できるよう、設置技術の伝達を行います。

オンライン参加でも、目からのウロコの内容となっていますので、ぜひご期待ください。

プログラム:

SPECワークショップ 900-945

進行:岡村泰斗(backcountry classroom Inc. CEO)

参加者全員で、参加型学習の手法を用い、ロープを用いたアクティビティを通じて、SPECの教育効果や、アクティブラーニングの手法を理解します。オンライン参加の方も、リモートで楽しいワークショップ体験を共有することができます。

AFPY・いばらきASEラボ実践発表 945-1030

発表者:
新内 俊允(下関市立一の宮小学校/AFPYアドバイザー)
杉本 牧人(県立さしま少年自然の家/ASEファシリテーター)
ファシリテーター:大田一夫(下関市立熊野小学校校長)
コメンテーター:岡村泰斗(backcountry classroom Inc. CEO)
概要:
AFPY及びいばらきASEラボより、それぞれの団体の特性、独自のメソッド、体験学習活動の事例などを紹介し、発表後の協議会を通じて、自らのシステム、メソッドに新たな風を吹き入れ、各県にイノベーションを起こします。オンライン参加者の方も、2題の事例発表を視聴した後に、協議会に参加することができます。

AFPY
新内 俊允(下関市立一の宮小学校/AFPYアドバイザー)
山口県では、学級の支持的風土醸成を目的として、仲間関係づくりの手法であるAFPYを用いた学級づくりを推進しています。県内の教員は、初任者研修や10年次研修、また十種ヶ峰青少年自然の家が主催・共催する多岐に渡る研修にてAFPYを学び、学級づくりに活用しています。この発表では、AFPYが学級づくりにおいてどのように意味や価値をもつのか、実践を通して紹介します。

いばらきASEラボ
杉本 牧人(県立さしま少年自然の家/ASEファシリテーター)
さしま少年自然の家では、茨城県教育財団が開発した、ASE指導者資格システム基づき、ASE指導のノウハウを施設内で継承し、年間1,000人に対してASEプログラムを提供しています。また、大学1部リーグ所属サッカークラブ、県内のトップクラスの陸上競技部などにもASEを提供し、競技成績に反映するなどの成果を上げています。この発表では、指導者養成システムの概要、及びカリキュラム、さらには、同所OB、OGを中心に立ち上げたいばらきASEラボの役割と活動について説明します。

SPECを用いた教材開発ワークショプ 1045-1200

ファシリテーター:岡村泰斗(backcountry classroom Inc. CEO)
コメンテイター:大田一夫(下関市立熊野小学校校長)
 
参加者でグループに分かれて、SPECを用いた教材開発にチャレンジします。その後、開発したプログラムを参加者を対象に模擬授業を行い、参加者どうしてフィードバックを行いながら、SPECを用いた教材開発のコツを共有します。オンラインで参加される方は、残念ながら、模擬授業への参加はできませんが、参加者が開発するユニークな教材や、そのフォードバックを通じて、SPECの理解をより一層深めることができます

ビームの設置ラボ 1215-1330

デモストレーター:杉本 牧人(県立さしま少年自然の家/ASEファシリテーター)

ASEとは、PAが商業化する以前に、アメリカの特定の地域でチャレンジコースを示すために用いられた言葉です。我が国は1974年に当時ペンシルヴェニア州立大学博士課程に在学中の飯田稔(体育の科学,1974)により紹介され、1980年より、筑波大学野生の森にて、長年実践されてきたものです。現在では、日本サッカー協会S級カリキュラムや、プロスポーツ選手のチームビルディングに取り入れられるなど、幅広く活用されています。PAとなり、仮設的で、課題の難易度の可変性が高く、環境にインパクトを与えないなどの特性があります。このラボでは、約15分程度で、高さ3m程度のビーム(立木の高所に梁を設置するアクティビティ)の設置システムをデモンストレーションし、その後参加者で数基のビームを設置します。いばらきASEラボでは、この基本技術を元に、対象、環境、ねらに応じたさまざまなASEを独自に開発するなど、既存のアクティビティにとらわれない指導理念と研修を積んでいます。本来であれば、参加者のみなさんにも独自のASE開発を行なっていただきところですが、今回は設置までとし、今回身につけて設置技術をもとに、みなさんの現場で実践されることを期待します。オンライン参加の方は、固定カメラにて、ビーム設置のシステムを見ることができます。

発表者:

新内 俊允

下関市立一の宮小学校
Adventure Friendship Program in Yamaguchi会員

杉本 牧人

茨城県立さしま少年自然の家
いばらきASEファシリテーター

参考資料

AFPY

いばらきASEラボ